この春に広島へ引越した親戚を訪れるため、レンタカーの10人乗りワゴン車に親族を乗せて広島までドライブをした。我が家の
車に付いてないので普段ETCは利用しないのだが、レンタカーにETCが付いていたのでカードだけ作っていった。広島までの高速道路
代は通常約1万6千円位、それがETCの夜間割引で9千円台となりかなり得をした気になった。しかしこれは一度失くしたお金を見つけ
て得したと喜んでいるのと同じで、本当は得どころか本来払う必要のないお金を取られている事に気付いていない人が多い。我々は
自分たちの税金で作った高速道路を走るのにまたお金を払っている。利用する道路の維持のためなら仕方ないが、そのお金の一部は
どこかの誰かが勝手に使っていて、国民や国会議員はおろか日本の税金を管理しているはずの財務省ですらどうにもできないのだ。
今年の夏上映されている「崖の上のポニョ」という宮崎駿監督のアニメ映画のモデルになった場所が広島県の何処かにあるという
情報を子供が友達から聞きつけた。場所を調べたら福山の近くの瀬戸内海沿岸である事が分かり、帰りに寄る事にした。モデルに
なったとあるカフェの電話番号をカーナビに入力し人工音声の言われるがままにドライブ。目的地周辺に着くと右手に崖、左手は
海だった。我々は見た事の無いカフェが道端にないかと探したがなかなかみつからない。カミサンが痺れを切らして「そのカフェは
崖の上なの?下なの?」と言うが誰も知る由も無い。結局その番号に電話して行き方を聞いて辿り着いた。
そのカフェは鞆の浦の常夜灯の直ぐ脇だった。鞆の浦の字を見たとき読み方が分からなかったが、どこかで見た覚えが有る様な
気がした。常夜灯の前に立った時、以前JRの駅の壁に貼ってあったポスターにこの常夜灯の写真が使われていた事を思い出した。
そのポスターを見て一度ここへ行ってみたいと思っていた。鞆の浦には江戸時代の町並みや小さな漁港、祠のある小島、石段と
常夜灯など、風情を感じる景色が沢山ある。しかし、この景観を台無しにする道路建設が計画されており、カフェの前では反対派
による署名活動が行われていた。確かに鞆の浦を通過するにはすれ違いも出来ないような狭い道を抜けなければならないが、地元の
人は別に不便を感じていないはず。むしろその狭い道が鞆らしさであって新しいバイパスはこの町に不要だ。バイパスが出来ると
漁港の大部分が埋め立てられ、写真の灯篭の直ぐ後ろを高架道路が走り景色が見えなくなる。役所は税金で作った道路でお金を
取るだけでなく住民が要らない物を作って数百年来の町の財産を破壊する。その破壊に使われるお金の一部は我々の税金や道路代で、
そのお金の流れを止める方法を我々は知らない。
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