バハ・カリフォルニア半島の中間辺り、太平洋側に面した海岸にScammon's Bayという大きな入り江がある。そこはクジラ達の
楽園だった。成長すると10メートルは優に越えるGray Whaleは、アラスカ沖の北極海で夏を過ごし秋になると
ベーリング海峡を越えてアメリカ西海岸を南下し、12月頃にバハのラグーンにやってくる。そして冬の間穏やかなラグーン
の中で過ごし子供を産み、子供が大きくなる3月頃には、また北極海を目指して旅立ってゆくのである。
カリフォルニアがゴールドラッシュで沸いていた1857年、Charles Melville Scammonはクジラで溢れたGuerrero Negro Lagoon
を発見し、その後何千頭ものGray Whaleを捕獲して財を成した。捕鯨が禁止されている現在、Guerrero Negroの町にとって
クジラは貴重な観光資源となっている。また、乾燥した気候と綺麗な海の水を利用してラグーンの畔には大きな塩田が
築かれており、巨大日系多国籍企業が経営する町で唯一の工場が大量の塩を生産している。そしてその工場の為に拡張された
7,000ft級の滑走路を擁する立派な空港が町のはずれにある。バハのハイウェイは舗装状態が悪く、陸路でここへ来るのは
かなり困難なので、Scammon's Bayのホエールウォッチングツアーに参加するにはこの空港を利用することになる。
地球の歩き方は勿論、アメリカで売っているガイドブックにすらあまり紹介されていない、この未開の楽園の旅にご案内しましょう。
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