判断力が試される時
2001年6月19日

 クロスカントリー・フライトは大きなパズルを解くことに似ています。地理、天候、機体の性能、その他諸々の条件をふまえて 目的地までのルートをレギュレーションに沿って考える。それが気象条件の変化の為に途中で変更しなければならなったりするから、 何度飛んでも面白いのです。そんな困難を克服した時、普段にはない達成感を味わう事が出来るのです。

 今年の1月にラスベガスへ行った時の事、一時間以上におよぶ雲海の上の飛行の後、パームスプリングスの谷に差し掛かり サンディエゴまで後少しと言うところまで来て、雲が無くなりやっと下界の景色が広がりほっと胸をなで下ろしたら、なんと目の 前の山脈の上に雲が立ちはだかっているではありませんか。(写真上、又は左)普段使わない頭の中はフル回転、もっとも安全で 且つ短時間で目的地まで到達するルートを考え持てる知識を総動員してシミュレーションを行います。

 「雲の上まではこの機では上れない、上がれても向こう側はクラスBエアスペースだし、雲の状況次第では下に降りれなくなる 可能性もある、迂回するには燃料が足りない、近くに給油できる所は有るか?さあどうする?」

 山脈の尾根の低いところから向こう側がチラリと見えているのを発見、

 「しかし隙間の高さは1000フィート前後、真ん中を通ればなんとか雲と山の両方から500フィート強の間隔は保てるか、 しかし山の風下では気流が渦巻いているだろな...」

 そして最終判断を自分で下さなければならない。機長である自分が最終的な判断を下す権限と責任を持ちそれを実行しなければ ならない。ほんとは大した事ない山越えなんだけど、自分ではなんだか大変な困難に立ち向かっているような気になるのです。

 「よし、あの隙間を抜けて行こう!」

 そして意を決し大魔神の又下をくぐるがごとく、入道雲の下へ潜り込んだのでした。案の定尾根を超える時に強い乱気流に もまれましたが、覚悟の上なのでそれほど恐くありませんでした。そして尾根を超えると向こう側には青空が広がっていたのです。 (写真下、又は右)。雲の下を抜けた瞬間おもわず心の中でやったーと叫び、そして自分の判断が正しかった事になんとも言えない 満足感に浸るのでした。


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