縄文杉
平成21年7月20日

 子供の頃、私は図鑑を見るのがとても好きだった。小学校低学年の頃に地球の図鑑、航空機の図鑑、気象天文の図鑑の3冊を買って もらい、時間があると見ていた。気象天文の図鑑に書かれた皆既日食の絵を見て、一度でいいから黒い太陽の周りに噴出すコロナを 肉眼で見てみたいと思ったものだった。部分日食はなんどか経験したが皆既日食を見る機会はなかった。ところが今年の7月に日本 国内で皆既日食が見れるチャンスがやってきた。鹿児島県トカラ列島を中心に、北は屋久島、南は奄美大島の北部で皆既となる。 半年前にツアーの募集が始まり、家族を誘って申し込もうとしたがものすごい倍率で早々に諦めた。2ヶ月前になり航空券の予約が 始まり、1ヶ月前から鹿児島港から島へ行くフェリーの予約が開始。朝7時からフェリー会社に電話をしたが、昼ごろにやっと電話が 繋がると「もうキャンセル待ちもありません」とのこと。翌日、屋久島だったら日食の4日前のフェリーが一人分取れる事がわかり、 それで手を打った。予約してからネットで屋久島について調べたら、とある小説で「ひと月に35日雨が降る」と言われるくらい 雨の多い所だとの事。だから空いていたのかとうなずいた。もし、天気が悪くて日食が見れなくても屋久杉を見れればいいやと 思い、これもまた調べてみたら町からバスで1時間ほど山に入り、バス停から一番有名な縄文杉までは徒歩しかなくしかも普通に 歩くと片道5時間との事。でもこれも見れなかった高いお金を払って何しに行ったかわからなくなるので、屋久島に到着した翌朝 5時のバスに乗って縄文杉を見に行った。バス停から山奥に向かって谷に沿って延々と続くトロッコ道を歩くこと2時間半、 今度は急なアップダウンがあるジャングルの中に板を敷いたコースを2時間半歩き、漸く縄文杉に到着。途中にも大きな杉があり、 正直縄文杉を見ても驚くほどの感動は無かったが、とにかく5時間歩いてゴールに到着した事がとても嬉しかった。

 テレビでも放送された通り日食当日は生憎のお天気で、本来の目的である暗闇に噴出すコロナを見ることはできなかったが、 自転車で毎日屋久島を走り回り、屋久杉の森を歩き、海辺の露天風呂に入り、清んだ水の川で泳ぎ、夜は祭りと花火、テントで キャンプ、などなど、とても思い出に残る夏休みとなった。


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