日本最西端の地、与那国島の沖に海底遺跡ではないか?と言われている場所があることを知ってから、いつか自分で見てみたいと
思っていた。海の水の中なので見ごろは夏かと思いきや、調べてみると冬場がベストシーズンとの事。
早速現地のダイビングショップに電話してみると宿もダイビングのツアーも予約可能で、私のようなスキューバダイビングの
超初心者でも海底遺跡まで連れて行ってもらえるというので、溜まっていたマイレージを使って行く事にした。与那国島は太平洋
から東シナ海に黒潮が流れ込む場所にあり、昔は「なんど(難渡)」と呼ばれたほど潮の流れの速い所らしい。日によっては
海底遺跡の岩の角を曲がった瞬間、マスクが外れるほどの流れに巻き込まれ飛ばされるように流される事もあるという話も聞いた。
超初心者ゆえに怖さを知らない私は言われるがままに海底遺跡まで潜っていた。結論から言って、私には人工の構築物とは思え
なかった。確かにまっ平らなテラスや直角に切り立った階段状の部分だけを見ると人が加工したように見えなくもないが、
これまでにも似たような形に崩れた火成岩の岩肌の山を幾つも見てきたので、それらと同じにしか見えなかった。
インカやマヤの遺跡では、絵文字、小さな穴、人の形などが岩に彫ってあったり、人が生活をするための機能を備えていることが
ひと目で分かったり、おそらくこういう使い方がされていたのではないかと想像させるものが沢山あった。
しかし、ここではそういうものを見つける事ができなかった。もしこの場所が水面より上に出ていたとして、
階段は段差の高さがランダムだし、雨風を凌げる穴も無いし、城門と呼ばれている所はテラスよりも10メートル以上深い場所にあり
機能的な繋がりも無さそうだし、とても人間が作って暮らした街の跡とは思えなかった。もちろんこれは私の個人的見解であって
これが正解だと言うつもりは無い。これが遺跡かどうかは別として確かな事は、水深15mほどにある切り立った岩場の眺めは
とても素晴らしく、地形派のダイバーにとってはとても素晴らしいダイビングポイントである。
城門と言われている場所。石を積み上げたような作りが人工の遺跡ではないかという根拠になっている。水深はおよそ20mくらい。
二枚岩。同じような大きさと形の岩を二枚重ねたようだというが、これが人工的だという理由が見当たらない。城門をくぐっると目の前にある。
メインテラスと呼ばれている遺跡ポイントの中央あたりにある平坦な場所。
メインテラスから上に向かう大きな階段。階段というか雛壇?
階段状の構造。全体に大きさの異なる平たい立方体が沢山集まったような状態となっている。
亀石。中央の三角形の石を亀の頭に見立てているようだがちょっと苦しい。周囲をみると他の線と角度の違う亀裂が入って出来た様子が伺える。
水路と呼ばれている場所。そう思い込んで見れば見えなくは無いかも知れないが、かなり苦しい。
二枚岩にしても亀石にしても地面が隆起あるいは沈下した際に、こういう平たい岩が部分的に剥がれ落ちて階段状の構造を作ったように思える。
俯瞰してみるとまるで幾何学的な形にデザインされた都市の様で、見ていてとても楽しい場所である事は違いない。
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