おぼろ月夜
2002年1月29日

 昨日会社からの帰り道、空を見上げると月が真ん丸でとても明るく輝いていて奇麗でした。空には雲が流れ月が隠れては顔をだし、 月明かりに照らされた雲が神秘的な模様を空に描き出していました。その月夜の空を見ながら「この雲の上を飛んだらさぞ奇麗な 景色だろう・・・」と思ったら居ても立ってもいられなくなり、家に帰って夕食を終えると、買い物に出掛けて来ると言って モンゴメリーフィールドに向かいました。

 ところが、空港の近くに差し掛かると空から大粒の雨がどしゃ降りでした。空港についてスキャナーを点けると「Visiblity 4Miles、Sky Condition、Broken 2、500ft、Heavy Rain。。。」どう考えても無理なのに、頭の中から月明かりに照らされた雲海の 景色が離れず、どうしても飛びたくてすぐに雲行きが良くはなるまいかとどしゃ降りの中しばらく空を見上げていました。 すると、暫くして西の空から雲が晴れ始め空港上空はとても奇麗な星空となりました。私は雲が無くならないうちに飛ばなくてはと 急いでWarriorのプリフライトを始めました。

 West Bound Depで海へ出て時計周りにぐるっと回ってラモナ辺りで雲の上の景色を楽しもうかなと思ったのですが、目の前に 3、000ftから5、000ftにかけての分厚い雲が立ちはだかり、下を行っても意味が無いので急遽東へ折り返しました。 サンディエゴクラスBの東端へ出ると、そこにも3、000ftから最高で10、000ftくらいのモクモクとした雲が立ち昇っており、 その中をリンドバーグヘ向かって突き抜けて行く旅客機たちが飛んでいるのが見えました。そのIFRの人たちに迷惑をかけるのも 心苦しいなと思い引き返そうと思いましたが、せっかく来たのにと思い雲の切れ目の下に行き旋回しながら6、500ftくらいまで 登ってみました。

 上空へ行くと町の光は足元に少ししか見えずとても心細くなりましたが、目の前に立ち昇る雲が月明かりでグレーに光り、 ふと辺りを見渡すと月明かりに照らされた雲海が広がっていました。次の瞬間薄い雲が視界を遮りました。それはほんの 一瞬の出来事でしたが、私に夜雲の中で方向を見失った時の恐怖を味あわせるのに十分でした。そして私はスロットルを 絞りクラスBエアスペースの下へ潜り込むように下降を始めました。

 遠くMYF方面を見ると視界は良好でしたが少し雲がかかっていました。一応VFRコンディションでしたが着陸直前雲の下に 入ると乱気流にもまれ、ちょっと心細くなりました。ファイナルの手前3マイルくらいから再び大粒の雨が降り出し、 締めくくりは雨の中のナイトランディングとなってしまいました。それでも月明かりに照らされた雲海を一瞬でも見る事が出来、 私は幸せな気持ちで家路に就きました。

(写真は空港で雨が止んだ時に撮った月です)


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