ある日、LAクラスBエアスペースの東側をサンデェイゴに向かって南に飛んでいたときの事、チャートを見ると直ぐ下にチノ空港
(CNO)が見えているはずだった。高度は約7500ft、天気もよく、広い平野に数本の滑走路が交差したCNOは簡単に見つけることが
出来た。写真を撮り景色を眺めていると、空港の周囲に規則正しく建物らしきものが沢山建っていることに気がついた。家にしては
様子がおかしく、何だろう?と思いながら暫く眺めていた。結構広い範囲でその建物は広がっていた。そして色々と考えた末、漸く
それが牛舎である事に気がついた。そう思った瞬間思わず息を止めてしまった。
私が5歳位の頃まで、実家の直ぐ近くに畜舎があった。時々忍び込んで中を覗きに行ったが、糞まみれの牛や豚が犇めく畜舎の中の
臭いは想像を絶するものだった。そして風向きが悪いとうちの方までその臭いは流れてきた。それは恐らく牛豚両方合わせて20頭
もいるかどうかという小さな畜舎であったが、それでも周囲の臭いは相当なものだった。そして眼下に広がるこの牛舎の町を見て
その臭いがセスナのコックピとに充満したような気持ちになった。窓を開けたら牛舎の臭いがするのではなかろうかと思うと、
ちょっと気持ちの良いものではなった。CNOには飛行機の博物館がありゼロ戦も有ると聞いた事があり、一度行ってみたいと思って
いたが、この景色を見てちょっと気後れしてしまった。
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