アーチーズ国立公園の旅2日目

アーチーズ/メサヴェルデ国立公園の旅
5月26日(2日目)


第2レッグ
<セントジョージ → エスカランテ>

<旋回は程々に>

飛行機を降りてホテルまで徒歩30秒。どこの空港にもこんな便利なホテルがあるといいですね。
ROcoco
朝食をおいてある部屋の窓からの眺め。
飛行機まで30秒

 一夜明けてホテルの窓から外を見ると、とても素晴らしい町の景色が広がっていた。レストランの一角にドーナツとミルクとコーヒーが置いてあり、そこで朝食を済まし、 ドーナツを少しもらってからホテルをチェックアウトしました。 ホテルのドアを開けると直ぐ目の前に愛機が止まっているのが見えます。荷物を転がして飛行機まで歩くこと約30秒、 フェンスドアを過ぎるともう飛行機に到着、とても便利な空港です。

セントジョージ空港出発

 丁度スカイウェストの定期便が出発するところで、ターミナルから飛行機に乗り込む人たちが出てきていました。フライトプランは既に作ってあったので、 プリフライトを済ませると私達は次の目的地へ向かって早々に出発しました。

 昨晩ガソリンを入れた時、次の目的地まで3時間はかかるし、途中給油できるところが無いので満タンにしておきました。滑走路へ出てフルスロットルで離陸、すると直ぐに ストールウォーニングホンが鳴り出しました。2人は子供とはいえ3日分の荷物を積んで4人乗った状態でガソリンをトップオフするとさすがに重いらしくなかなか高度が上がりませんでした。 「まあなんとかなるだろう」と私はストールウォニングホンをプープー鳴らしながら、騙し騙しゆっくりと高度を上げていきました。こんな事が出来るのもトラフィックが少ない田舎ならではです。
Office/Restaurant
ホテルのオフィスも兼ねるレストラン。
Tiedown Area
出発を待つ愛機。
Private Jet
セントジョージの企業のオーナー所有のジェット。
航空写真撮影

 SGUを出発して直ぐにまずは昨日訪れた友人宅を上空から見るべく東へ飛びました。離陸後5分もしないうちに目的地に到着。新居の航空写真を撮ってあげようと思いましたが、 なかなか見つからず結構深いバンクでぐるぐると旋回を続けていたら、息子が小さなかすれた声で「きもちわるい・・・」と一言つぶやきました。なんとか写真も撮れたので水平飛行に戻し、 JALの機内からもらってきた袋を渡して万が一の事態に備えました。
Xwind SGU
クロスウィンドから見たSGU
St George Aerial
赤い大地に緑が映えるセントジョージ周辺ののどかな田園風景。
Patrics Home
この中に友人宅があるはず、それにしても庭の広いこと。
ザイオン国立公園

Zion NP Aerial
白く滑らかな岩肌と切り立った赤い断崖のコントラストが素晴らしい、空から見たザイオン国立公園のパノラマ。
ザイオン国立公園遊覧飛行

 SGUを出発して東へ飛ぶと切り立った断崖メサが沢山見えてきます。そのメサの一つに「Hurricane Mesa」というプライベートのエアストリップがあります。 それを過ぎると山のほうに白い帯状の地層が丸みを帯びて侵食された景色が見えてきます。その手前には赤い大地が大きく侵食された渓谷が見えてきます。それがザイオン国立公園です。 グランドキャニオンほど規模は大きくなく谷も深くありませんが、自然が作り上げた独特の景観は迫力があります。ちょっと丸みを帯びた二色のキャニオンと言った所でしょうか。
Hurricane Mesa
断崖絶壁の上のHUrricane Mesa。
Patrics Aerial
途中上空を通過した舗装なしのプライベートエアストリップ、カーメルマウンテン。
Hurricane Mesa
エスカランテの集落。
1L7 Final
かなり急峻な進入角度となってしまったアプローチ。
緊急着陸

 ザイオン国立公園を過ぎるとしばらくは平凡な景色が続きます。途中VORの電波が届かない所を通るので、念のためVFRフライトフォロイングを受けながら飛んでいました。 出発後1時間半ほどたった頃でしょうか、先ほどの友人宅上空の旋回ですっかり気分を悪くして苦しそうな顔をした息子が、どうしてもトイレに行きたいと言い出しました。 チャートを見ると丁度前方20NM位の所にエスカランテという空港があったので、予定を変更してそこに降りて一旦休憩する事にしました。

 私はセンターを呼び出しフライトフォロイングをキャンセルして着陸の準備を始めました。全く予定に無かったので探すのに苦労しましたが、常にチャートを見ながら現在位置を把握していたので、 空港があるべき方角へ向かい予想した辺りで高度を下げると、集落の中に小さな滑走路を見つけました。こんなところ誰も飛んでいないだろうと思いながらも 一応無線で着陸する旨を告げ滑走路へ向かいました。
Escalante APron
何にも無いエスカランテのエプロン。
Hurricane Mesa
ハンガーから見た草ぼうぼうのエスカランテのエプロン。
エスカランテ空港到着

 わりと長い滑走路でしたが下手な着陸をして滑走路中ほどにある出口を過ぎてしまい、 途中でUターンをして滑走路からエプロンへ出ました。エプロンには意外にも2機の軽飛行機が止まっていました。ツインが1機とセスナが1機、 そのセスナのオーナーとその友人と思しき男2人が何やら話しながらずっと私達を見ていましたが、エンジンを止めて飛行機から降りると車でどこかへ消えてしまいました。

 辺りにはかまぼこ型をした「Escalante Aviation」と書かれたハンガーらしき建物以外何もありませんでした。ハンガーの中はがらんどうで、トイレのために降りたのに、 結局その辺で用を足して早々に引き上げることにしました。


第3レッグ
<エスカランテ → キャニオンランズ>

<お先にどうぞ>
エスカランテ空港出発

 エスカランテの標高は大して高くなかったのですが、デンシティーアルティチュードが高かったせいか、離陸する時になかなか高度が上がらず、またストールウォーニングホンを鳴らしながら離陸しました。
1L7 Xwind
エスカランテをXwindから見たところ。
HVE
上空から見たHanksville。滑走路の脇にVORが見える
キャニオンランズ国立公園とその周辺


エスカランテとハンクスビルの中間辺りの景色。




キャニオンランズを通る川のひとつ「グリーンリバー」。




平らな大地を蛇行した川が縦横無尽に走るキャニオンランズ。
キャニオンランズ国立公園遊覧飛行

 キャニオンランズ国立公園はMOAの中にあり、もしかすると飛べないかなと思ったのですが、FSSに電話してアクティビティーを確認したところ飛行可能ということで、 上空から景色を楽しむことが出来ました。ここが通れないと大きく迂回しなければならなかったので助かりました。キャニオンランズはアーチーズの直ぐ隣で、時間があれば回りたかったのですが、 今回は日程上無理だったので上空から景色を楽しむだけにしました。キャニオンランズは見渡す限りの荒野に蛇行した川が浅い谷を迷路のように彫ったという趣きの景色です。 何処が上流で何処が下流か、何処が本流で何処が支流か一目では全く分からないほど川が蛇行して入り組んでいます。地上のルートは殆どが未舗装のトレールで、 4WDの車でしか行けませんし、何処にも橋が架かっていないので全部見てまわるには、きっととても時間が掛かると思います。
CNY
この中にキャニオンランズ空港の滑走路が写っているのですが・・・
キャニオンランズ空港到着

 例によって滑走路は視認出来ていないのですが、周囲の景色からしてここしかないという所目指して高度を下げていきました。砂漠の中の小さな空港ですが、さすがアーチーズ、 キャニオンランズ両国立公園の玄関口だけに、無線を聞いていると何機か離着陸しているようでした。

 滑走路を見つけトラフィックパターンに近づく頃にはみな居なくなり、 一人で落ち着いて着陸できると思いながらダウンウィンドに入ると、いきなり「・・・On Final・・・Straight In・・・」という声が聞こえてきました。 「ストレートイン?ファイナル?」トラフィックパターンには誰も居なかったはずなのにどういうことだと思いながら無線をよく聞いていたら、どうやら小型のプロペラ旅客機が接近しているようでした。

 滑走路の延長線上を見るとその旅客機が近づいてくるのが見えたので、私は「Extend Downwid・・・」と言ってその旅客機が横を通り過ぎるのを見ていたら、 「Thank you for extending downwind・・・」と、その旅客機のパイロットから礼を言われ、すかさず私は「You bet!」と返しました。 最初割り込まれたと思いムカつきましたが、このやり取りでなんだかちょっと気分が良くなりました。
CNY final
CNY ファイナルレッグ。
CNY touch down
タッチダウン!
CNY in the cockpit
着陸直後、ほっと一息の瞬間。

キャニオンランズ空港のFBOから見たタイダウンエリア。何処までも続く荒野と軽飛行機。
CNY entrance
キャニオンランズ空港のエントランス
グレードアップ

 途中で予定外の着陸をしたため到着が一時間ほど遅れてしまった。キャニオンランズではレンタカーを予約してあり、空港で係りの人と待ち合わせをしていたので、私は飛行機を止めるとまずは 何はともあれFBOへ向かって一目散に走りました。ドアを開けるとそこにはレンタカー会社の女性が待ち受けており、私を見るなり声を掛けてきました。空港にはレンタカー会社のいカウンターが 有るのですが、小さな空港なので普段は無人で、その女性は私の為にわざわざモアブの事務所から駆けつけてきてくれていたのです。

 丁重に謝ってからカウンターに行き手続きをしていると、彼女はしきりに「予約は普通のモンテロだけど、今日はグレードが一つ上の車があるよ。普段は$150だけど、特別に$125でいいよ、 $10足すだけでラグジュアリーな車に乗れるよ!」とグレードアップを薦めました。でも、予算を結構オーバーしていたので、ここは少しでもセーブしようと思い断りました。後で駐車場に行くと モンテロは私達の車一台しかなく、しかも内装は革張りでした。きっとグレードアップしても同じこのモンテロに乗ることになっていたのでしょう。ちょっと得した気分になりました。

 

アーチーズ国立公園

巨岩、奇岩の間を縫って走る公園の道。
天然の彫刻の森

 キャニオンランズ空港を出て南に向かい、荒野を走っていた道が谷間に下り始め暫くすると左手にアーチーズ国立公園入り口が見えてきます。ゲートを越えると先ずは岸壁を登る九十九折の道があり、 上の方からは遠くにモアブの緑が見えます。

 坂を登りきり台地の上に上がり、真っ赤な岩肌のメサの間を抜ける公園の一本道を暫く走ると程なく最初の観光ポイント「パークアベニュー」に着きます。垂直に切り立った岩山が切れに並び、 谷間の向こうを見通す景色がまるでマンハッタンの摩天楼に囲まれたパークアベニューを思わせるところからその名が付いたそうです。
Park Avenue
摩天楼に囲まれたマンハッタンの景色を彷彿とさせるパークアベニューのVista Point
Three Goships
スリー・ゴシップス。三人よっていったい何の噂をしているのやら。
Balanced Rock
バランス・ロック。近くで見ると迫力があると言われているが・・・

こういうメサがそこかしこに立っている。
Delicate Arch
デリケート・アーチ。その名の通りそっとしておかないと倒れそうな形のアーチ。この景色を見るとここへたどり着くまでの辛さも報われる。
デリケート・アーチ

 この公園のハイライト、デリケートアーチ。ここへは駐車場から1.5マイルのトレールを歩かなくてはならない。 大人なら早足で30分子供なら1時間はかかる道のりだ。道は途中から傾斜した岩肌となり、日差しもきついのでゆっくり歩いてもかなり疲れる。アーチにたどり着く頃にはグロッキー状態だが、 最後の角を曲がると目の前に写真のアーチが現れ、それを見た瞬間疲れが吹き飛んだ。途中9歳の息子が体調を崩し、帰りの1マイルほど息子を背負ってこの悪路を歩くこととなってしまった。
Trail to Delicate Arch
はるか彼方に見える緑の向こうが駐車場。この辺りが丁度アーチまでの中間地点。

岩肌を削って作ったトレール。足を滑らせたら谷底行き。ここまでくればアーチは直ぐそこ。

アーチの下はすり鉢状の窪みになっている。

公園内のそこらじゅうに自然に出来た岩のアーチが点在している。
 この辺りの地層の特徴は板状の比較的脆い岩盤をタテに何枚も立てたようになっており、 その板状の岩盤の中ほどが薄く侵食されて最後には穴が開きアーチが出来上がるらしい。公園内にはそこかしこにアーチが点在し、また岸壁が丸く侵食され将来アーチになるであろう予備軍も多数あった。
Double Arch
ダブルアーチ。左奥にもアーチがあり二つ連続している。

道端にこんなアーチが点在している。

まるで像の鼻のよう。




公園の一番奥にあるデビルズ・ガーデンの入り口。ここから一番近いアーチまで0.9マイル、一番奥のアーチはそこからさらに1.2マイル。
Landscape Arch
ランドスケープ・アーチ。天然アーチで世界最大。
デビルズガーデン

 公園入り口から続く一本道はここで行き止まり。この先に見所が幾つか有るのだが、ここから先は徒歩のみ。 最後の力を振り絞って0.9マイルのトレールを歩いてランドスケープアーチまでたどり着いたが、そこから次のポイントまで1.2マイルという看板を見て力尽き後の行程は断念。公園全部を見るには最低 でも2日は必要だろう。


Moab
アーチーズ国立公園を出て暫くした車窓から。緑の向こうにモアブの町がある。
Appachi Motel
あの、ジョンウェインも泊った事のあるアパッチ・モーテル
Montero
CNYで借りたモンテロ。内装は革張りだった。
モアブ

 時間があればキャニオンランズの未舗装路でも走ろうかとせっかく4WDの車を借りたが、結局ほんの数マイル 砂利道を走っただけでもったいない事をした。夜はアーチーズに隣接するモアブの町で一泊。あのジョンウェインも泊ったというのが自慢のアパッチモーテルに宿をとった。




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