アーチーズ/メサヴェルデ国立公園の旅
5月27日(3日目)


第4レッグ
<キャニオンランズ → コルテス>

4WD
飛行機に車を横付けして荷物を積み込む。
キャニオンランズ空港(CNY)出発

 空港でレンタカーをドロップし、FBOでチェックアウトをしている時、 FBOのカウンターに置いてあったビデオテープを見てビックリ、なんとカバーの写真は昨日見た岩のアーチをセスナがくぐっている写真でした。清算をしていたお兄さんに「これは本物か?」 と尋ねると「そうだ、合成じゃない、その飛行機を操縦していたパイロットはここのオヤジだ。」と言って奥の事務所のいすに座っていた老人を呼び出した。
4WD
エプロンから見たFBO。駐機している定期便が出ると車で自機まで乗り付けられる。

 出てきた70歳近い男性は写真を指差して「これを飛ばしているのは俺だ、自分は昔からここを飛んでいるんでこんな事が出来るが、よそ者がまねすると行き止まりの谷で岸壁にぶつかてしまう。 もっとも今は撮影の時など特別に許可が無いと飛べないが・・・」と天然アーチをくぐるアクロバットのビデオ撮影をした時の説明をしだした。ほんとアメリカにはとんでもない事をする奴がいるもんです。

 さすが二つの国立公園の玄関口の空港だけあって、小規模ではあるが建物は新しく清潔で奥のほうには普段は使っていないようだがセキュリティーチェックポイントも有った。 清算が終わりユナイテッドの旅客機が出発したのを見届けてから車を自分の飛行機に横付けして荷物を積み込みいざ出発。
Counter
レンタカーのカウンターが軒をp連ねる。
Door to Apron
ホール。奥のドアがエプロンへの出入り口。
Aero West Avtn
Aero West Aviationのカウンター。
空から見たアーチーズ

 キャニオンランズを離陸し、次の目的地コルテスへ向かうベく南に進路を取ると、左手にアーチーズ国立公園が見えてきた。上空からは角度と色合いの関係でアーチを見つけるのは困難だった。 巨岩、奇岩も小さく見え、地上から眺めた時の迫力は無いが、荒涼とした台地に板状の岩が立ち並んでいるさまが良く分かります。アーチーズのある台地と南北に走る断層を隔てて西側にある台地との 谷間にモアブの町がある。二つの台地の峰を直角に割って流れるコロラド川の水が谷間に溜まって出来た緑は、まるで真っ赤な砂漠のオアシスのようだった。
Arches Aerial
空か見たアーチーズ国立公園。
(クリックすると大きな画像が見れます)
Moab Aerial
上空から見たモアブの町。
(クリックすると大きな画像が見れます)
Park Avenue Aerial
上空から見たパークアベニュー




コルテス(CEZ)到着

 メサヴェルデ国立公園の玄関口、コルテス・モンテズマ空港に到着。空港の南側にある山の地形から大体の空港の位置は予測できたのだが、なかなか滑走路が視認できずてこずった。 そして昨日のトレッキングの疲れからか着陸は急な角度での進入となり、昨日のエスカランテに続いてハードランディングとなってしまった。
CEZ Final
またもや急峻な進入角度となってしまったアプローチ。


 ここで再びレンタカーを借りメサヴェルデ国立公園とフォーコーナズへ向かう。FBOにのカウンターで給油を頼んでいると、かなりヨボヨボなおじいさんがやってきて私の名前を言うので誰かと驚いたが、 彼がレンタカーの係りだった。差し出された書類に必要事項を記入して渡して暫く待っていると、FBOの前まで車を持ってきてくれた。話し方や見た目から察するに恐らく御歳80近い老人だが、 とても優しい感じのいい人だった。
FBO
FBO外観
FBO counter
FBOのカウンター
Terminal
ターミナルビル
 メサヴェルデ国立公園以外に何も無い田舎町だが、エプロンには大きなプライベートジェットやツインが停まっていた。

大・中・小。一番右のアーチャーが今回の愛機。こんなジェットで飛んでみたいなぁ・・・



メサヴエルデ国立公園/フォーコーナーズ

全米唯一 其の一

 コルテス空港から東へ車で約30分でメサヴェルデ国立公園の入り口に到着。しかし、そこから先が長く遺跡まで更に1時間近く走らねばならない。そして駐車場から遺跡まではさらに歩きで数十分かかる。

 アメリカの国立公園は普通森林や砂漠など自然環境を保存しているのだが、唯一ここメサヴェルデ国立公園だけは人工の建造物を保存している。深い谷の絶壁の中腹にある岩の窪みに、 日干し煉瓦を積み上げて作られたアメリカ先住民の遺跡がある。写真のような遺跡が公園内に幾つか点在しており、レンジャーのガイドするツアーで遺跡まで降りることが出来るのだが、 今回は時間が無く遠くから眺めることしか出来なかった。



全米唯一 其の二

 コルテス空港から南へ車で約1時間、アリゾナ、ユタ、コロラド、ニューメキシコの4州の州境が1点で交わる、その名も「Four Courners」。こちらもまた全米唯一です。 ここは国立公園でも何でも無いが、なぜかゲートがあって見に行くのにお金を取られる。何も無い荒野を走るハイウェイの脇にあり、スピードを出していた私はうっかり曲がり角を通り過ぎてしまった。

 4州に同時にまたがって立てるポイントは舞台のように一段高くなおり、そこに立った写真が取れるようカメラマン用の台が脇にある。周りには民芸品を売る土産物屋やタコスを売る店が並び、 ちょっと胡散臭そうな観光名所という雰囲気を醸していた。
four corners
同時に4州にまたがって立っている所。
sign
ビジターセンターもちょっぴり胡散臭い。
prailie dog
空港の近くのマクドナルドの芝生でフライドポテトを食べていたプレーリードッグ。

 

第5レッグ
<コルテス → キングマン>


写真中央辺りにフォーコーナズがある。
コルテス空港(CEZ)出発

 だいぶ時間が押してしまい、次の目的地キングマン到着は夜になってしまうので、FSSに電話して途中の気象情報を確認して出発。ルート的には北に少し遠回りになるのだが、 せっかくなのでモニュメントバレーの上を通る事にした。
Cockpit
コーヒーを飲みながらしばしモニュメントバレー上空を遊覧飛行。


 モニュメントバレーとコルテスの中間辺りはVORの電波も届きにくく、パイロテージだけが便りの寂しい荒野が広がっていた。離陸後暫くすると、太陽が段々オレンジ色に染まりながら西の地平線に近づいてきた。 まだ目的のモニュメントバレーまで到着しておらず、しかも次のVORの電波も受信出来ない状態なので、もしこのまま日が暮れてしまったら完璧に迷ってしまう。私は暮れて行く夕日に向かって 「頼むからもう少し待ってくれ〜」と叫びながら操縦していた。

 漸く次のVORの電波が途切れながらも入りだしてきて、大体の見当をつけた方向を見るとそこにモニュメントバレーがあった。独特の形をしたメサたちが夕日で更に赤くなった荒野に長い影を落として立っていた。

モニュメントバレーのプライベートエアストリップ
(クリックして拡大)



空から見たモニュメントバレー。メサの影がもうだいぶ伸びている。



IGM
闇夜に光るFinal Runway21のランプ
キングマン空港(IGM)到着

 モニュメントバレーを過ぎて暫くすると日はとっぷりと暮れてしまい、何とか次のVOR、TUBA CITY(T03)の電波はキャッチしたものの、地上には全く明かりは見えず、しかも初めての土地なので こんなに心細くなったのは初めてだった。やっとの思いでグランドキャニオン空港(GCN)のビーコンを見つけた時はほっと胸をなでおろした。本当なら右手にグランドキャニオンの壮大な景色が広がっている はずだったが、残念ながら真っ暗闇で何も見えなかった。

 ここから先はVORをトラッキングするだけなのでだいぶ気が楽になる。程なくキングマンに到着。滑走路のランプを点けるべくマイクをクリックしようとしたが、既に点いておりガッカリ。 この日は前回と違って滑走路のランプが点けっぱなしになっていた。この大きな滑走路のランプを点けるのを楽しみにしていたのに残念。
CNY final
ガソリンスタンドから見たターミナルビル
CNY touch down
フィリップスの看板
CNY in the cockpit
何度ここで給油したことか・・・
 いつものセルフサービスのスタンドで給油を済ませると、家族がトイレに行きたいと言い出した。FBOは既にしまっているので困ったなと考えていると、「あの建物に人が入って行ったよ」と家族が言うので 其の方向を見てみるとターミナルビルの窓が明るく光っていた。行ってみるとドアが開いており中に到着したばかりの定期便のクルーとガードマンとカウンターに人が一人居た。 私達は家族全員で暗い道を走りターミナルへ向かってダッシュした。トイレに駆け込み用を足して出てくると、みな驚いたように不審な目で私達を見ていた。

 

第6レッグ
<キングマン → モンゴメリー・フィールド>


一人孤独に計器を見つめる夜間飛行
夜間飛行

 キングマンの公衆電話でMYFのASOSを聞くと「Sky Clear・・・」、安心していつものようにキングマンを離陸して、ニードルズ(EED)を通過、程なくカリフォルニア砂漠のエリアに入ると 下界の明かりは夜空の星の数より少なくなる。

 この日は3,000ft辺りにうっすらと煙のようが雲が立ち込めていて、さらに上空にも雲が出ており、星の明かりも町の明かりもどちらも良く見えなかった。 月が何とか見えていて、ぼんやりとした雲の水平線が見ていたのでなんとか飛べたが、殆どIMCに近いような状態だった。普段はVFR Flight Followingを受けていても、 ATCは最小限に抑えるのだが、この日ばかりはたまにこちらか「ら聞こえてるか?」と話しか掛けたりして不安な気持ちを紛らせていた。

 Twentynine Palmsを越えパームスプリングスに差しかかると、やっと眼下にに町の明かりが見えてきた。あとはいつも通りジュリアンVORに向かって一直線。今回も無事MYFへ帰還する事が出来た。

 



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