<ユタ州> ヴァーナル(VEL)を出発後ずっとグリーンリバー川に沿って南下しました。この日は前日同様とても良い お天気だったので、VORの電波が届かなくても川をたどって行けば必ずコロラド川と合流しレイクパウエル まで辿り着けるだろうと思い、次の目的地までパイロテージで直線コースを取ることにしました。 VELを出発して100マイルほど飛んだ頃でしょうか、VORの電波はとっくに届かなくなっており川の流れ だけが頼りのはずだったのが、川の水が段々少なくなり、蛇行した川は沢山ある支流と区別がつかなくなり だしました。慌ててチャートとにらめっこ。景色から分かる全ての情報とチャートを照らし合わせ、なんと か現在位置を把握したものの、それが当たっているのかどうかとても不安でした。グリーンリバー(U34)上空 に着いた時も、初めは見えているのが本当にグリーンリバーの町と空港なのか半信半疑でした。しかし、 この日は本当に天気が良く、かなり遠くまで見渡せたので、彼方に見える高い山の方角から現在位置を割り 出すことが出き、無事次の目的地まで飛ぶ事が出来ました。 |
グランドキャニオンとはまた違った雄大さをもつグレンキャニオンの景色。 | 赤茶けた荒野と満々と湛えられた水のコントラスト、人間が作り上げた絶景である。 | 蛇行するレイクパウエル。 |
写真中央あたりにレインボーブリッジがある。 | レインボーブリッジへのアクセスは船しかない。向こう側の桟橋に泊めて歩いて行く。 | 複雑に入り組むレインボーブリッジ周辺の川。 |
<ユタ州> ここも探すのに苦労しました。目印は何も無くVORも無く辺りの地形を頼りに辿り着きました。お昼時に 到着したのですが、初めからレストランなどは期待してなかったので、ヴァーナルで出発前に買った ハンバーガーをラウンジで広げて食べました。外は華氏100度以上(摂氏39度前後)の灼熱地獄。 給油中にガソリンが引火するのではと本気で心配しました。FBOの横には大きなソーラー発電パネルが 設置されており、これなら電気は使い放題、クーラーも良く効く訳です。 |
逃げ水に覆われて消えてしまいそうな滑走路。 | さび付いたポンプ。 | 恐らくこのパネルでFBOの電力は全て賄われているに違いない。 |
FBOの外観。 | FBOのパイロットラウンジ。 | アスファルトの照り返しと熱風でうだる様に熱かった。 |
<ユタ州> 昼食と給油をすますと直ぐにつぎの目的地であるマーブルキャニオンへ向けてU96を飛び立ちました。 レイクパウエルを南西に辿ると直ぐにペイジ近辺に到達。ペイジのトラフィックを避けるように北側へ迂回して マーブルキャニオンへ。マーブルキャニオンはグレンキャニオンダムの直ぐ下流に位置し、ペイジから直ぐそばです。 |
ペイジ近辺のウォーターフロント。 | 桟橋には無数のハウスボートが繋留されている。 | 偽デビルズタワーロック?。 |
マーブルキャニオン空港上空。 | ベースレッグから見たL41 Rwy3。 | Final Rwy3 L41、滑走路手前のクレバスが気になる。 |
見た目にも舗装の質が悪そうな滑走路。 | 正面に立ちはだかる山。ゴーアラウンドにならなくて良かった。 | 無事着陸。気温が高いからか、ブレーキの効きが悪く感じられた。 |
<アリゾナ州> マーブルキャニオン周辺は地形に特徴があり、近くのペイジにはVORも有るので迷うこと無く辿りつきました。 辿りついたのは良かったのですが、滑走路もエプロンも状態が悪く、アスファルトは見事なまでにひび割れ ていました。パーキングスポットは未舗装でしかも傾斜しており、飛行機を留めようとしても手を離すと 戻ってきてしまう始末。困っていると近くで作業をしていた土木作業員風の男性2人が見かねて手伝って くれました。着陸した瞬間から「まずいところに来てしまったな...」と直感しましたが、その予感が 的中するのは暫く後の事でした。 |
あみだくじが出来そうなヒビ。 | スポットの地面はこぶし大の石がごろごろしていて止めるのに苦労した。 | FBOかと思ったら、ただのみやげ物や兼レストランだった。 |
川原は何処? 何はともあれ、まずは向かいの土産物屋に行きマーブルキャニオンの情報を仕入れました。 店員によると店の前の道路を1マイルほど北へ行くと川に当り、そこに上空から見えた橋がかかっているとの事。 そこから川に下りて水遊びが出来るかと聞いたがあまり良い返事は返ってこなかったが、 取り敢えず橋まで行こうと、100度F近い炎天下を家族をつれて歩き出しました。 20分くらい歩いたところで橋に着き、袂の駐車場に作られたツーリストインフォメーションに入りました。 インフォメーションセンターの中はクーラーが効いていて、橋の歴史についての展示を見つつ暫く涼んでいました。 この橋が出来る前はコロラド川を渡るには800マイルも上流の町まで行かないといけなかったそうです。 写真でも分かる様に、とても河原で水遊びが出来るような所はなく、結局汗だくになりながら写真だけ取って 早々に引き上げました。 |
まずはここで周辺の情報を仕入れた。 | この道の先には楽しい河原が待っている...はずだった。 | マーブルキャニオン・ツーリストインフォメーションセンター。 |
右が新しい橋で、左が今は歩行者専用の古い橋。 | 30メートルは有ろうかという絶壁。何処で水遊びするの?と子供に聞かれ… | この中で暫くクーラーにあたって一休み。外は100度F。 |
<アリゾナ州> 土産物屋で買い物をしていると何やら外が騒がしいのでふと窓に目をやると、なんと、バラバラと大粒の雨が降っているではありませんか! あわてて店を飛び出すとそれまで抜けるように青かった空が、一転、雹でも降り出しそうな暗い色に変っていました。 ぐずぐずしていたら帰れなくなりそうだったので、急いで飛行機に戻りすぐに出発することにしました。 風が気になりウィンソックを見てみると北寄り10ノットといった感じでした。しかし空港の北側三方は絶壁の山に囲まれています。 そこで我々の他にもう一機出発しようとしていたので、彼らの離陸を見てからどうするか決める事にしました。 ところが彼らはいつまでたっても出発する様子が無く、どうやら私と同じ事を考えている様でした。 私はシビレをきらし、結局先に出ることにしました。 ミーカーの冷や汗を思いだし、理論通り風上に向かって離陸すべく滑走路の反対側に向かってタクシーバックを始めました。 途中で後ろの絶壁が気になり振り返って見ると、赤茶けたキャニオンの絶壁が直ぐそばに迫っており、 もしあの手前でターンする事が出来なかったらと考えると、とてもそれに向かって離陸する気にはなれませんでした。 仕方なく私はエプロン近くのスタート地点に引き返し、ショートフィールドテイクオフを試みる事にしました。 空は見る見る雲に覆われ始め大粒の雨が降り注ぎ、もう考えている余裕はありません。 私はフラップを10度下げると、ブレーキをかけたままエンジンをフルスロットルにし、回転が落ち着くまで 暫くそのままにしておきました。いつもならここで直ぐにブレーキを離してしまうところですが、 今日は失敗は許されません。十分にエンジンを回してから「行くぞっ!」と掛け声とともに一気にブレーキをリリース。 飛行機が滑り出し滑走路の中ほどまで来た時、それまで見えなかった向こう側が見えるようになりました。 するとなんと、滑走路の向こうには深い谷がパックリと口をあけているではありませんか! L41の標高は約3600ftとそれほど高くないのですが、気温が100度Fと高かったため、 デンシティーアルティテュードが、かなり高くなっていました。しかも追い風でしたが滑走路が下りだったのが幸いして、 なんとか離陸速度に達しました。しかし高度がなかなか上がりません。飛び立つと直ぐ深い谷を飛び越えたのですが、 そこを通りすぎるまで生きた心地がしませんでした。これまで離着陸で怖い思いをした空港は幾つかありましたが、 絶対に2度と行かないと心に誓ったのはここが初めてです。 |
のんきにみやげ物など買っている場合ではなかった。 | 凄い速さで走り行く雲たち。 | みるみるうちに空は暗い雲に覆われて行った。 |
まさかこの先に深い谷が待ちうけているとは... | ここを通りすぎるまで生きた心地がしませんでした。 | グランドキャニオンのスペシャルエアスペースを避けるため、高度が上がるまで暫く絶壁に沿って飛び続けた。 |
細かったマーブルキャニオンの谷が... | 次第に広がって行く。 | 山火事発見! |
グランドキャニオン マーブルキャニオンからコロラド川を下って行くと次第に河岸段丘の侵食が広がって行き、 段々とグランドキャニオンの壮大な景色に変わって行きます。明確な境界があるのかどうか知りませんが、 リトルコロラドリバーと合流する辺りからいわゆるグランドキャニオンの景色が始まっているように思えます。 グランドキャニオンだけは特別のエアスペースとなっており、専用のチャートも用意されています。 よく写真に出てくる場所の上空の殆どは地上から14,500ftまで飛行禁止となっていますが、 何ヶ所かコリドーと呼ばれる抜け道のようなスペースがあり、そこを使ってグランドキャニオン 上空を一往復して景色を楽しむことにしました。 |
千尋の谷 | グランドキャニオン空港(GCN) | |
グランドキャニオンのど真ん中。 | 向こうの天気がちょっと気になる。 |
ヤバパイ・ポイント | 中ほどから下流を望む。 | 翼越しにトポコバヒルトップとグランドキャニオン。 |
所々夕立が降っていた。 | 毎度おなじみキングマン(IGM)に到着。 | Strait in Rwy21 IGM |
<アリゾナ州> 今回の旅行の最後の中継ポイント、キングマンに到着。ここはサンディエゴから2時間くらいの程よい距離に有り、 ノンタワーなのに滑走路がとても広くて長くて、しかも24時間営業のセルフスタンドがありとても便利な空港です。 昔はエアフォースの基地だったらしく、FBOの壁にはB−17かB−29のような爆撃機がエプロンに 何十機も並んでいる写真が飾って有りました。今はトラフィックも少なくひっそりとしているので、 いつもクロスカントリーの帰りに最後の休憩地点として重宝しています。 |
ちょっと天気が気になったので出発前にFSSに電話してみたら、なんと「途中サンダーストームやら雲やらで危ないから飛ぶな」 と言われてしまいました。「ここまで来てそりゃ無いぜ」と思いながら外へ出て空を見ると、確かに南東や北の方角はちょっと 曇っているけれど、キングマン上空は十分飛べるし、西の方角は雲もまばらでどう考えても飛べそうなのにどうしてっ!? FBOのおじさんは「近所にモーテルもあるから泊まっていけば?」と勧めてくれましたがどうにも納得が行きませんでした。 そこでモンゴメリーフィールドのATISを電話で聞いてみたら「Sky Clear, Visiblity 10....」これはもう行くしかない。 意を決して飛び立ってみると何の事はない、どこにもサンダーストームどころか大きな雲さえ見当たりませんでした。 コロラド川を渡り、ニードルズのVORを頼りに南西の方角へひたすら飛び続けました。この辺はラスベガス へ行く時にも通るので慣れたものです。アリゾナの砂漠を過ぎてパームスプリングスの谷を越えると サンディエゴはもうすぐそこです。サーマルを過ぎてVORをジュリアンに合わせたら後はいつもの様に 夕日に向かって飛ぶだけ。私達は5日間の旅を終えて無事モンゴメリーフィールドへ帰ってきました。 |
今は昔...キングマン(IGM)の管制塔。 | ニードルズ(EED) | サーマル/デザートリゾートリージョナル(TRM) |
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End Of The Flight |
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