マウントラッシュモアの所在を掴んでからというもの、いつそこへ行くかが問題となりました。
正直言ってサンディエゴからは遠いし、近くに魅力のある観光地もなかったので、
そこへ行く為に大事な休日を使うにはなかな踏ん切りがつかずにいました。
そしてプライベート・パイロットのライセンスを取った後、マウントラッシュモアの話になるといつも
「俺の操縦で行こうか?」と冗談半分に言うようになりましたが、それは決して冗談の域を出ることはありませんでした。
免許を取ってから月に1〜2度は長距離クロスカントリーに出ていたので、半年もすると南カリフォルニアや ラスベガス、西部アリゾナの一泊ぐらいで行けるような目欲しい所は大体制覇してしまい、また、 近場のクロスカントリーではいつも似たようなルートを通るので次第に物足りなくなってきました。 そして飛行時間と経験を重ねていくうちに、いつものようにマウントラッシュモアの話になると、 「自分の操縦で行けるかな?」というのもあながち冗談ではないなと考えるようになっていきました。 しかし軽飛行機でサンディエゴ、ラピッドシティーを往復するにはどう考えても最低4日はかかります。4日間、 距離にしておよそ2000ノーティカルマイル(約3700Km)の行程が全て晴れる確立など考える意味がありません。 私の免許では計器飛行が出来ないので途中で天気が悪くなったらそこでストップです。もし旅先で天気が 悪くなったら晴れるまで帰って来れません。アリゾナやネバダなら最悪車でも帰れますが、サウスダコタ では...いくら冒険好きな私でも、これほど大きなリスクを犯す気にはなれませんでした。 ある日ひとりでラスベガスまで行った時のことでした。用事を済ませて帰ろうとすると外は雨が降っていました。 仕方なく晴れるのを待つために一泊したのですが、翌日になっても雨は上がりません。 結局VFRギリギリの条件になったところで離陸し、雲の切れ目から上へ出て雲海を越えてサンディエゴまで 帰って来ました。それ以来雲が出ても何とかなると思うようになり、そしていつしかマウントラッシュモア までも行けるのではないかと思うようになったのです。 それから数ヶ月後、独立記念日の旅行を計画する時期が来て、私はマウントラッシュモアまで自分の操縦で 行くことを決意しました。その頃には既に家族も私の操縦で出かける事に慣れてきており、機は熟していました。 そして話しを決めてから何週間もかけて計画を練り、このたびついに念願を果たすことが出来たのです。 それまでの様々な経験がこのフライトを実現し、そしてまたこのフライトが更に経験となって積み重なる。 パイロットにとって経験がいかに大切かと言うことを今回のフライトで改めて実感しました。 このコーナーを書き始めてから3ヶ月たち、やっと書き上げることが出きました。初めはレイアウトを 考えるだけでも大変で、さらにそれをHTMLに置きかえるのがまた一苦労でした。試行錯誤を重ねてこのスタイルを 作り上げ、本日やっと完結致しました。残念なことに9月11日にニューヨークとワシントンDCで起きた 同時多発テロの為に今は飛ぶことが出来ず、今後新しいシリーズを書くことが出来るようになるかは定かでは有りません。 しかし飛べなくなった事がこれを書き上げる契機となったのも事実です。 拙い文章や解像度の低い画像にも関わらずここまでお読み頂きまして本当にありがとうございました。 Friday October 5, 2001 Airman |
[Top][6/30][7/1][7/2][7/3][7/4][Epilogue]