IFRレーティング合格記念フライト
SEL de LAX

まずは準備

 アメリカの空港は5段階にクラス分けされており、LAXは最上級のクラスB空港です。私は今までにラスベガス国際空港とソルトレイクシティー国際空港の二つのクラスBエアポートに着陸した経験がありますが、 ラスベガスは土地柄大金持ちが自家用機でギャンブルしをに来るので4本ある滑走路のうち2本がGAがメインになっており、軽飛行機でも気楽に着陸できます。ソルトレイクシティーもまた滑走路が4本あり 旅客機のトラフィックも多い空港だけれど、GA用の短い滑走路もあり軽飛行機でも何の違和感も無く利用できました。しかし、LAXは違う。4本の滑走路のうち2本は離陸専用、別の2本は着陸専用となっており、大型ジェットが次々と降り立ち、 離陸専用の滑走路には常に順番待ちのジェット旅客機が渋滞を作っています。それを捌く管制塔の忙しさも半端ではなく、とても軽飛行機では近寄りがたい雰囲気があります。この巨大な空港にGA用のFBOは二つしかなく、 しかも100LL FUEL NOT AVAILABLEというNOTAMが出ていました。しかし過去に軽飛行機でLAXに着陸した事のある先輩パイロットがいらっしゃる事を知っていたので、先ずは経験者の方に お話しを伺ってみました。そして集めた情報を整理すると大体以下のような難関が待っている事が分かりました。

1.着陸直前まで120ノット前後のスピードを維持するよう指示される。(通常90〜100ノット)
2.決まった時間に指定されたフィックス(地図上の場所)に到達するよう指示される事がある。
3.上空で長時間ホールディングさせられる事がある。(VFRの場合は1時間待たされた例もある)
4.Rwy25Lに着陸して直ぐに左に曲がらないと大変なことになる。
5.グランドコントロールの無線が忙しすぎて割り込めない。
6.離陸時、前のジェットが巻き起こすウェイクタービュレンスが大変危険。

 この中で一番大変そうに感じたのがアプローチ時のスピードで、いつも乗っているArcherやC-172ではとても120ノットで着陸出来そうにありません。そこで今回は一回り大きな Arrowを使う事にしました。操縦の練習のため前日にタッチアンドゴーを8回ほどこなしました。次にアプローチの練習。IFR訓練で使っていたPCシミュレータ「On−Top」で、 SLIからHUNDAにベクターされると想定しHUNDAの南1マイル辺りからLOCにジョインする設定でアプローチの練習をしました。ホールディングについてはどのフィックスでするか 見当が付かないので省略。離陸時のグランドの無線は気長に待つしかなく、ウェイクタービュレンスも自分ではどうにも出来ないのでその場で判断するしかなく特に対策は無し。 事前の準備は大体そんなところです。

Navigation Log
Fix Course Altitude Mag Crs. Leg GS ETE
MYF   (ft)   (NM) (Min)
OCN V23 6000 326 29 140 12
SLI V23 6000 301 46 140 20
TANDY V8 6000 251 30 138 13
LAX Direct 030 20 136 9
      Total 125   54
 MYFからLAXまでのフライトはせいぜい一時間弱と短いので燃料の心配は無く、フライトプランもTEC(Tower Enroute Cotrol)を使うのでファイルする必要は無いけれど、一応通過するFIXを チャート上で確認してナビゲーションログを用意しました。帰りの分も作りましたが、、 結局殆どベクターされた(コースに関係なく管制官の指示に従って飛ぶ)ので意味がありませんでした。

 TECは機体のカテゴリー(性能)別に何種類かのルーティング(コース)が設定されており、自分が飛ばす飛行機に合ったルーティングから良いのを選びます。今回は往きはSANL13を選びました。南からLAXに接近するのでアプローチは ILS 25Lになるはずです。帰りはLAXL17というルーティングを選びました。 LAXL17はSeal Beach DepartureというSIDを含んでおり、 離陸から暫くの間、管制塔の指示が無い限りそこに書かれいてる通りに飛ばなければなりません。着陸してから何処へ行って良いか迷わないように空港の ダイアグラムも忘れずに準備します。


初めてのIMCソロ

 当日朝、窓の外はどんよりと曇り空。早速インターネットでLAXの天気を調べてみると、
Satelite Image

METAR:
VRB06KT 10SM BKN025 13/09 A2989

TAF:
231130Z 231212 VRB03KT P6SM OVC020
FM1800 VRB03KT P6SM SCT022
FM2000 27010KT P6SM SCT015 BKN150
FM0300 VRB03KT P6SM BKN200
FM1100 VRB03KT P6SM BKN120

AIRMET:
MTN OBSCN...CA
FROM 50N LAX TO 30W TRM TO 40ESE MZB TO 20SSE MZB TO LAX TO 40W RZS TO 50N LAX
MTNS OBSCD CLDS/BR. CONDS ENDG NR 21Z.

WINDS ALOFT:
FT  3000  6000   9000   12000
ONT 9900 1405+08 3310+03 3017-03

 OVC009 RAでチェックライドを受けた事を考えれば、視界は10SMだしBKN025やOVC020なんて楽勝ですが、電話でMYFのATISを聞いてみたら「flow control in effect LAX」 と言っており、話で聞いたようにどこかでホールディングさせられる可能性が大。初めてのソロIFRだしVFRコンディションでも苦労した話を聞くと、やはり天気が良くなるまで待った方が良いのかと迷いました。 しかし、もしかしたら予報が外れて好転するかもしれないという淡い期待を抱き、一応MYFまで行って判断する事にしました。

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(As of February 26, 2003)



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