IFRレーティング合格記念フライト
SEL de LAX

Tower Enroute to MYF

Hangar Garrett
 FBOに到着してカウンターでチェックアウトしようと係りにクレジットカードを渡すと、彼は「何もない、そのまま行っていいよ」という様な事を言いながら外を指差した。 私は彼がクレジットカードを端末に通したと思ったので、「サインは?」と聞くと「要らない、行って良い」と言うので、そのまま何もせずに家族を連れて飛行機へと向かった。
Service counter

 私は飛び立ってからせめて領収書のコピーだけでも貰っておくべきだったと後悔し、家に帰ってからFBOにE-mailで領収書を送るように頼んだら、給油も何もしていないので請求は無いとの事だった。 空港からランディングフィーの請求が後から来る可能性はあるかも知れないが、少なくともギャレットはタイダウンフィーもトランスポーテーションのサービスフィーも何も取らなかったのだ。これは意外だった。

 プリフライトを済ませ準備完了。さぁ、これからが第二関門、地獄の超多忙LAXグランドにコンタクトだ。その前にクリアランスデリバリーにコンタクトしてタワーエンルートをリクエストした。 LAXはVFRだったがMYFがIFRコンディションだったし、せっかくIFRで飛びに来たのだからということでIFRにした。すると、
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「8164Z no flight plan filed, you need to contact Flight Service to file flight plan・・・」

 タワーエンルートとは、いちいちフライトプランをファイルしなくてもタワーにコンタクトするだけでIFRクリアランスがもらえるように利便を図るシステムのはずなのに、フライトプランをファイルしろと言うのはおかしい。 しかし、セキュリティーの問題で予想外の不便を被るかも知れないと覚悟していたので、FSSにコンタクトするくらいお安い御用だ。無線でHawthron FSSを呼び出しIFRフライトプランをファイル。 チャンネルを再びクリアランスに戻して一息付いていると、こちらからコールしていないのに突然クリアランスが私を呼んだ。

「64Z Can I verify your flight plan・・・・」

 FSSが私のコールサインの最後の文字を"Z"ではなくて数字の2とファイルしていたらしくその確認だった。慣れない作業に汗をかき、一休みしようと思っていたのに向こうから呼びかけてきて、 LAXのタワーは私に休む暇も与えてくれない。
taxi to 25R


程なくクリアランスが下りた、

「Cherokee 64Z cleared to Montgomery field airport via the Los Angeles Lima 17 routing, and if you don't hanve the routing, I'll read that to you, after clearance, maintain 3000 expect 5000 3 minutes after departure, departure frequency 124.3, squawk 5327.」

リードバックが終わると、

「64Z contact ground 121.75 when you redy to taxi」

ランナップしている間チャンネルをグランドに合わせて暫く聞いていたが、思った程忙しく無く割り込む隙は十分あった。一息つくとエアラインの隙を突いてグランドをコールした、

「Los Angeles ground Arrow 8164Z squawking 5327.」
「Arrow 8164Z LA ground,taxi Rwy25L, via Alpha, hold short of Foxtrot.」
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Rwy25Lを渡る瞬間(クリックして拡大)


 タクシーウェイFに到着する前にモニタータワーと言われ、到着と同時にコンタクトタワー。タワーからホールドショートRwy25Lと言われ滑走路の前で待っていると、 目の前を着陸するジェット機が通り過ぎ、向こうの25Rからも飛行機が飛び立っていった。そしてすぐさまタワーから滑走路を渡るよう指示が出た。

 25Rを渡る時に滑走路の端を見たら次に離陸する飛行機が既に滑走路に入って来ていた。まだポジションには入ってなかったが、それを見た私は焦ってスロットルを吹かし、かなり速いスピードで滑走路を横切った。 エアスピードインディケーターの針が少し揺れていたので30ノット近く出ていたかも知れない。
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 モンゴメリーで訓練していた時はこの後一旦ランナップエリアに止めて最終チェックをし、それから初めてタワーにコンタクトしてリリースIFRと告げられるのだが、ランナップはタクシー前に済ましており、 タワーにもコンタクト済み。リリースIFRと言わないうちに、ランウェイエンドまで来てしまい、気が付けばポジション・アンド・ホールド(滑走路に乗って離陸を待つ)、そしてクリアーフォーテイクオフ! タクシーを始めてから流れるよな速さであれよあれよと言う間の離陸だった。
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 離陸後直ぐにディパーチャーにコンタクト、少し南寄りにベクターされて一旦海上へ出た。そして少しずつ南向きにベクターされ、トーランス空港上空を通過しSLI VORへと向かわされた。 SLIを過ぎて暫くしてレジュームナビゲーション(管制の指示無しで自力でコースをトラックする)となる。そしてOCN VORを過ぎると再びベクターが始まりモンゴメリーフィールド(MYF)へ向かった。 MYF周辺は雲に覆われており、最後はILS Rwy28Rで締めくくりとなった。

 ベースベクターまでずっと5000ftのままで、最後の10分くらいはずっと雲の中だった。初めての長時間IMC飛行に家族は不安気だったが、ファイナルコースに乗り降下を始めて暫くすると雲の下に出た。 そして28Rに着陸し無事モンゴメリーフィールドに帰還した。


EPILOGUE

 今回のフライトの話をすると、大概「え、降りれるんですか?」「へー、降ろしてくれるんですね」というリアクションが返って来る。LAXのトラフィックは過密で、その殆どが百人単位の搭乗客を乗せた大型旅客機 である事を考えると、やはり慣れないパイロットが近づくべきではないだろう。今回のフライトでは着陸直後に滑走路へ戻ろうとした事で一瞬管制官の肝を冷やした以外ATCで迷惑をかけることも無かったので、 自分では問題が無かったと信じている。しかし、たまたまトラフィックが少なかったから良いようなものの、アプローチのATCがいつもの様に忙しければどうなっていたか定かではない。 或いはタクシー中ジェットに挟まれたり、着陸でミスして後続のジェットをゴーアラウンドさせるような事態になったら大変である。そう考えるとやはり軽飛行機でのLAX訪問は必要最小限にするべきかも 知れない。恐らく私はもう二度と自分の操縦でLAXに行く事は無いだろう。今回のフライトはこれまでのクロスカントリーとは全く違い、とても面白く良い経験だった。

Cruising at 6000ft

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(As of February 26, 2003)



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