カリフォルニア・ハイデザートに広がる”Roger Lake”のレイクベッド
エドワーズへの道
- テストパイロットのメッカ、エドワーズ空軍基地へのXC体験記 -

史上初めて音速を超えたX-1のコックピットに座るチャック・イェーガー The Nest of Test Pilots

 ロサンゼルスの北側に東西に長くそびえる山脈を超えると、目の前にカリフォルニア・ハイデザートと呼ばれる砂漠が広がる。砂漠の中に所々ドライレイクと呼ばれる湖が干上がって出来た真っ白で平坦な 土地があり、中でもひときわ大きいロジャーレイクの西岸に接するようにエドワーズ空軍基地がある。第二次大戦後アメリカはソビエト連邦との軍事競争に勝つために超音速機の開発を始めた。 そしてエドワーズ空軍基地のテストパイロット、チャック・イェーガーはエドワーズ空軍基地から飛び立ったB-29で上空まで運ばれたX-1Aで人類で初めて音速を超えて無事生還した。 その後もカリフォルニア・ハイデザート上空でいくつもの記録が塗り替えられていった。

イェーガーらによってマッハ2.4と9万フィートの高度記録をたたき出した機体、X-1A  アメリカは超音速ジェット戦闘機や爆撃機などの新しい機体を次々と開発していった。朝鮮戦争ではF-86セイバー、ベトナム戦争ではF-4ファントム、その後艦載機F-14トムキャットや 空軍のF-15イーグルなど有名な機体が沢山作られた。しかし、作られた機体が全て軍に採用されて世に出たわけではなかった。有名な機体が生まれるまでに、数々の試作機が作られ 試行錯誤を重ねた末、厳しいテストや競合メーカーとのコンペを勝ち抜いた機体だけが歴史に残っているのである。エドワーズ空軍基地周辺の空域ではテストパイロットたちの操縦により、 それら試作機のテスト飛行が行われた。 開発されたのは戦闘機だけではなく、NASAアメリカ航空宇宙局による科学的な実験も行われている。スペースシャトルの基礎技術となったX-15も エドワーズ空軍基地から飛び立ったB-52から切り離され、宇宙まで行きロジャーレイクのレイクベッドに還って来た。

B-52の翼にぶら下げられて上空まで運ばれていくX-15  現代では試作機の設計図を元にコンピューターで操縦性を計算してシミュレーターを作る事が出来るので、テストパイロットはまだ出来上がっていない機体の操縦訓練を先に行う事が出来る。 それでもシミュレーターは完璧ではなく、実際に試作機を飛ばすと予想外の挙動をして墜落してしまう事もある。コンピュータの発達していなかった昔、テストパイロットはどんな飛び方をするか 分からない未知の機体をぶっつけ本番で飛ばしていたのだ。どんな飛び方をするか分からない機体を飛ばすのには広大な土地が必要だった。そしていつどこに緊急着陸するかも知れないので、 その土地は平坦でなければならない。カリフォルニア・ハイデザートの真っ白でまっ平らなレイクベッドは試作機のテスト飛行にはうってつけの場所だった。

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Jan 22, 2005