エドワーズへの道
- テストパイロットのメッカ、エドワーズ空軍基地へのXC体験記 -

Arrival

 山脈を越えると目の前にカリフォルニア・ハイデザートと呼ばれる広大な黄土色の砂漠地帯が目の前に広がった。左前方 には見慣れたパームデールの空軍基地が見えた。そこにはこのあたりを飛ぶときの目印となるPMDというVORがある。そして正面の 砂漠地帯に二つほど真っ白なエリアがあった。それは湖が干上がってできた平地で、塩分が固まって白く硬い平らな平地となって おり、レークベッドと呼ばれている。南から見ると左側は丸い形をしており、右側は南北に長く中ほどが少しくびれてヒョウタン のような形をしている。そのヒョウタン型のレークベッド、ロジャーレイクの西岸に、レークベッドに向かって飛び立つような形で 滑走路が作られている。エドワーズ空軍基地である。

 GPSの画面を見るとロジャーレイクは普通の湖と同じ水色で描かれていた。目的地までの距離はあと23マイル。天気はよく視界も 良好で、白く大きなロジャーレイクが正面にはっきりと見えていた。山脈を越えるために10,000ftまで上げていた高度を、徐々に おとしていった。しばらくすると湖畔のEDWの施設がはっきりと見えてきた。

 私がR-2508制限空域への進入許可をもらって少したってから、他のパイロットがJoshuaアプローチにR-2508への進入許可を要求 する声が聞こえてきた。しかし彼はPPRナンバーを持っておらず許可をもらう事が出来なかった。どうやら私が制限空域に入るのを 聞いて自分も通らせてもらおうと思ったようだ。基地が休みの時に制限空域を迂回して飛んでいると、アプローチの方から制限空域 を横切って近道をして良いという許可を出してくれることもあるが、今日は基地が活動しているので駄目だった。


GPSの背景にロジャーレイクが表示されている

枯れた川の向こうにパームデール基地が見える

右手にはカリフォルニアハイデザートが縁と続く

広大な砂漠右の中に広がる白いレイクベッド

ロジャーレイクとエドワーズ空軍基地

EDW南滑走路のダウンウィンドに45度で進入

 高度が低くなるに従って段々暑くなってきた。暫くするとJoshuaアプローチからEDWのタワーに渡された。するとタワーが「北の 滑走路にするか、それとも南の滑走路どちらにするか?」と聞いてきた。北の滑走路は1万フィート以上ありスペースシャトルの 着陸にも使用される。南の滑走路は短く基地のアエロクラブでも使用しておりFBOもこちらにある。当然南の滑走路に誘導される とばかり思っていた私は、北を選べばあのスペースシャトルと同じ滑走路に着陸できるという思いが一瞬頭をよぎり躊躇した、 しかし暑い中北の基地から南の基地までタクシーウェイを走るのも大変だし、間違って立ち入り禁止区域に入ってしまいトラブルに なっても嫌だし、予定通り南基地のRwy24を選択した。

 Rwy24のTPA(トラフィックパターンアルティチュード)は2,800ft。45度の角度でダウンウィンドに入りたいのだが滑走路の場所 が分からない。距離からすると目の前にあるはずなのだが、タクシーウェイとも滑走路ともダートロードともつかない幾つもの 直線が地面に敷かれており、どれが滑走路か分からなかった。南基地と思しき建物がもう目の前まで来ているところで漸く滑走路 を認識。ダウンウィンドに入った。Abeam Numberで高度を下げだし前方を見るとだだっ広いRoger Dry Lakeが広がっていた。


南滑走路のランウェイエンド越しに見る基地

レイクベッドに無数の滑走路が描かれている

Runway24 short final

 トラフィックパターンに入って落ち着くとレイクベッドに長い平行線が何組も引かれている事に気がついた。Runway24のファイナル 近くから北へ延びる線の間には33と番号が書かれていたのでそれが滑走路だと分かった。以前テレビでEDWで戦闘機の試作機を飛ばして いるのを映していた。その試作機は次第に安定を失い地面近くを上下に波打つように飛び、最後には完全にコントロールを失って 地面に叩きつけられるように墜落した。レイクベッドに書かれた滑走路はきっとそういうテストをする際に使われるのだろう。 Abeam number、ベースレッグ、ファイナルと真っ白なレイクベッドの上を飛び、安定した空気の坂道を滑るように降下、ついに あのエドワーズ空軍基地に無事着陸。

 

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Jun 2, 2008