エドワーズへの道
- テストパイロットのメッカ、エドワーズ空軍基地へのXC体験記 -

Departure

 2003年5月31日土曜日、ついにその日が来た。案の定サンディエゴの上空は低い雲が垂れ込めており、ダウンタウンもノースアイランド基地もどんより とした灰色の空に覆われていた。完璧なIMCである。IFRのチェックアウトをしておいて正解だった。クラブハウスに到着すると まずはフライトプランをファイル。NASNIではVFRのローカルフライトでさえ毎回FSSに電話をしてフライトプランをファイルしな ければならない。次にORM(Operational Risk Management)と言って、考え得るリスクをリストアップしてそれぞれの対処方法を 所定のフォームに書き出さなければならない。それが終わると今度はFCA(Flight Check Authority)という資格を持ったインスト ラクターに出発の許可を得なければならない。しかし今日は天気が悪くクラブには誰もいなかった。IFRのチェックアウトをして くれたPaul NettingaがFCAの資格を持っていたので彼に電話をして許可を得た。

 次に機体の準備。準備と言ってもプリフライトではなく撮影のための準備である。今回はソロフライトなので撮影助手がいない。 そこで三脚をガムテープでパッセンジャーシートに固定してビデオカメラをセットした。スタートストップはリモコンで操作。 モニターを見ながら位置を直して準備OK。そしてプリフライト。T-41はC-172と殆ど同じだがエンジンオイルをチェックする窓が、 Piperのように大きく開く様になっている。そして今回レンタルしたN5150Fのインパネは改造してあり、まるで自作機のような雰囲気 をかもし出してる。ヨークも普通のセスナでは見られないリング状の形をしている。


テープだらけのシートバック

まるで自作機の様なインパネ

Piperのようなエンジンカウル

 プリフライトを終えて機体に乗り込みエンジンスタート。グランドにコンタクトしてNASNI3 Departureをリクエスト。クリアランス をもらいいランナップエリアへタクシー。午前10時33分いつもと同じランウェウイ18の途中B2からの離陸となった。離陸すると直ぐに霧のような 雲の中に入り視界が悪くなった。アップウィンドを昇っていると右手にポイントロマの岬がうっすらと見えた。下を見ると一面灰色 の世界で、視界は海面に白い波頭がなんとか確認できる程度だった。ATCが管制塔からSoCALに渡されベクターが始まった。800ftを 過ぎた頃に雲の中に突入。ヘディング180で暫く飛び高度2,000ftくらいで雲の上に出た。雲の上に出るとSoCALからVFR on Topにする かどうか尋ねられたので、IFRをキャンセルし見渡す限り真っ白な雲海の上をVFRで一路エドワーズ空軍基地目指した。


うっすらと見えるポイントロマ

海面に白い波頭が見える

雲の上は真っ青な快晴

オンボロインパネと最新GPSのコントラスト

El Toro海兵隊基地の滑走路

山の向こうはカリフォルニア・ハイデザート

 海岸沿いに北上しオレンジカウンティーの辺りで地上が見えるようになった。下を見ると雲の切れ目近くに大きな空港が見えた。 今は閉鎖されているEl Toro海兵隊基地の滑走路だった。オレンジカウンティーを過ぎるとチノやロサンゼルス東地区の玄関口の オンタリオ国際空港(ONT)のある平野となる。この辺りは東からLAX目指して降りてくる旅客機とONTから西へ向かって離陸して 来るジェットが東西の方向に飛び交っており、直ぐそばを大型旅客機が通り過ぎていく事もありとても緊張するエリアだ。フライト フォロイングを受けているのでSoCALが近づいてくる飛行機を教えてくれる。今日もおそらく1000ft未満の高度差で旅客機が頭上を 通り過ぎていった。

 暫くすると山脈が目の前に迫ってきた。高いところでは標高9,000ftを越える所もあるこの山脈を越えると、エドワーズ空軍基地 (EDW)はもう直ぐである。この辺りからATCがSoCALからJoshuaアプローチになる。山脈を越えた頃にJoshuaアプローチにハンドオフ され、行き先を確認してきた。EDWだと告げるとすかさずPPRナンバーは持ってるか?と聞いてきた。予め二ボードのメモ張に大きく 書いておいたPPRナンバーを告げると目前に迫ったエドワーズ空軍基地周辺の制限空域への進入を許可された。

 

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Jan 30, 2005