昨夜GAIに到着した時エプロンは昼間に雪が解けて流れた水がカチカチに凍りついていたので、日のあるうちに出発して出来るだけ南に下りたかった。 午後3時には出発したかったが、DC観光がずるずると延びてしまい結局6時半の出発となった。空港へ向かう道すがら池に氷が 張っているのを見て、上空にアイシングのAIRMETなど出ていなければ良いがと心配したが、雲の高さは12,000ft以上で地上の気温も プラス5度と思ったより高く問題なく出発できた。 プリフライトでオイルをチェックしたら6qtを少し切っていた。オイルを買いにFBOへ行くと丁度店じまいをしているところで、 もうレジを閉めたのなんのと嫌みを言われたが、オイルが無くては飛べないのでかまわず売ってくれとお願いした。オイルのグレード は15-50か?聞かれ、違うと思い機種はチェロキーだと言うと15-50で大丈夫たと言われた。しかし時間が無かったので取り敢えず そのオイルを買うことにした。機に戻ってマニュアルを見たらグレードは40ADと書かれていた。暫くすると係りの者がオイルを もってきた。入れるべきかどうか暫く迷ったがマルチグレードのオイルなら大丈夫だろうと思い、2qtのうち1qtだけ足す事にした。 漸く準備が整い滑走路へ出ようとしたら、セスナが着陸してタクシーウェイを反対側からこちらに向かって来た。仕方なく エンジンを止めて外へ出て機体を近くのスポットに押し戻して道を譲った。離陸する頃にはすっかり夜になっていた。 離陸するとまずは真っ直ぐFDKを目指した。FDKを過ぎるとDMEをDullesにセットしてワシントンDCクラスBの輪郭に沿って アークを描きながら南へ向かった。GAIはクラスBの外側に位置していたが、万が一クラスBに侵入してしまって不審な機体 だと思われてはいけないと、離陸してから暫くの間は心配しながら飛んでいた。LDVの付近を飛んでいると雨が降りだした。 付近に4,000ft級の山脈があり山の近くに雲が出ていたようだった。少し東側にコースを変更して山から離れると雨は無くなった。 気温は氷点下ではなかったが、知らない土地で雨の夜間飛行はしたくなかった。 LYHを過ぎて1時間以上飛んだ頃、DMEがとんでもない数字を示している事に気がついた。Identボタンを押したり、VORを使って 自分の位置を確認したが現在位置と全然違う距離を示していた。それまで左手の遠くに街の灯りが見えていて地図を見ながら自分 の位置を確認していたが、その景色が実は全然違う街の景色かもしれないと思った途端とてつもない恐怖に襲われた。そしてついに パニックを起こしてVORやDMEだけでなく全ての計器が信じられなくなってしまった。知らない土地で家族を乗せての夜間飛行で パニックに陥った私はすがるように無線でセンターを呼び出した。そしてつたない英語で私の現在位置を教えてくれと頼んだ。 すると暫くしてコントローラーがBZMの北東41NMだと教えてくれた。現在位置を確認出来ると私の心はようやく平静を取り戻した。 フライトフォロイングを受けていたおかげで直ぐにコントローラにコンタクトできたのが幸いだった。フライトフォロイングは 本当に便利なサービスである。 ATCに自分の位置を確認した結果、コースは合っていたのだが予想よりも全然前に進んでいなかった。DMEでGS(対地速度)を 確認してみるとなんと96Ktsだった。往きは140Kts前後だったのでかなり遅い。しかし考えてみたら離陸前に確認したFD(上空の風) は西から30Kts前後だったので計算は大体合っている。風を考えずに往路と同じくらいの速度で飛べると思っていたのが間違いの 元だった。FBOのフライトプランニングルームではルートと目的地の気象状況だけ調べて、あとはWind Correctiuonなど細かい作業 はせず、壁に貼られた大きなチャートを見ながら目分量で距離を測ってプランを立てていた。それと長旅の疲れと睡眠不足が心理的 に大きなすトレスとなりパニックを起こしてしまったようだ。 その日の内にアトランタを通り越してルイジアナ州辺りまで行くつもりだったが、西向きのフライトは逆風となりアラバマ州 あたりまで行くのが精一杯だった。途中で燃料が少なくなったのでサウスキャロライナ州のSpartanburg(GSP)で給油する事にした。 GSPはクラスCの国際空港で滑走路の長さは11,000ftと長く、24時間営業のFBOもあった。FBOにはカウンターのお兄さんと掃除夫の 二人がいるだけだった。私たちは給油の間にアメリカならではの大きくゆったりとしたソファに座って持参したオニギリを食べた。 GSP: Greenville-Spartanburg Int'l Airport GSPはノースキャロライナ州との州境に近いサウスキャロライナ州のスパルタンバーグとグリーンビルの町の丁度中間辺りにある クラスCの国際空港。長さ11,000ftの滑走路一本あり、ボーディングブリッジが一直線にいくつも並ぶ立派なターミナルがある。 GA用には24時間営業のStevens AviationというFBOが一軒ある。木造平屋の質素でこじんまりとした建屋だが、ホールは清潔で ゆったりとしたアメリカならではの大きなソファがならび心置きなく寛げる。
Day 6 |
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Aug 1, 2005